SHOTech Blog

プログラミングに関する記録です

【de:code2018 SP01】どうすれば本当に改革できるのか~デジタルトランスフォーメーションに必要なマインドセットとは~

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de:code2018の2日目最後にあった澤さんのセッションです。

これが今日一番面白かったセッションというか、一番社内にフィードバックしたいセッションでしたのでまとめておこと思います。

※フィードバック用に書きとめているため、長いです。(テクニカルセッションと違って過程も含めてほぼすべての情報を載せています)

 

 

というわけで早速内容へ

 3つの質問

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うちの会社もそうだが、なんとなく「AI」に対する期待値が高すぎるような気がします。これからのビジネスとして外せないという認識は間違ってはいないんですけどね。

改めて問われると「?」って感じです。

 

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ユーザ側の情シス部門の人とかは割と理解があると思っていますが、現場の人とかあまり開発サイドにいない人は「こんなんできないの?」って結構気軽に要求出してきます。AIではないですが、普段携わっているパッケージ開発の現場では「パッケージ」というものについてベストプラクティスが安く早く手に入るイメージ持たれてる感がありますが、それと似た空気を感じますね。

 

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これはもう疑いようがないですね。ソフトウェアなしでは成り立たないですね。

昨日できなかったことが今日できるようになってるくらい進化が速いです。

AIってなんかいいよねーとの矛盾

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※澤さんご本人ではないです

経営層の人ってAIとかIotとかってものに妙な期待感を抱いてる節があるんですよね。

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だからこんなことを簡単に言いがちです。「~とか」って言い方がミソですね。

夢見てるというか、よく言えば超ポジティブというか。

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ほんとにそう思う。

でも時代の流れとして、デジタルトランスフォーメーションは待ったなしです。

世の中のあらゆるものにデジタルの要素が含まれて行きます。

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その証拠に、ほぼ全ての人がスマホを持つようになりました。

便利ですし、スマホについて全てのことを理解していなくともとりあえず使っていけますし。

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物事が便利になるとより仕事がしやすくなります。仕事がしやすくなると生産性が上がりますよね。現場では常に生産性向上がうたわれています。現場改善のテーマとしても採用されがちです。推奨する人はいれど反対する人なんかいません。

となると、便利な技術って取り入れたくなるんですよね。AIなど新しいモノほどその傾向があります。

「新しい技術ってよくわからないけど、便利そうだから(生産性上がりそうだから)取り込もうよ」と。

理解していないのに取り込むというこの矛盾か非常にやっかい。まさに闇。

だから、整理しましょう。整理して導いてあげる人が必要だと澤さんはおっしゃっていました。

明日から参謀になろう

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CIO=情報そのものや情報技術についてのトップの責任者です。

そのCIOの参謀になりましょう。

CIOが正しい判断ができるように作戦を練って戦に勝てるよう補佐する、導く人になりましょうということのようです。

では、どうやって参謀になるのか。

3ステップで固定概念をぶっ壊せ

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ステップ1:「必然性」で外堀を埋める

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これはG7の各国の労働生産性のグラフです。現在日本は最下位です。

それも常に最下位です。しかもこの値にはサービス残業などは加味されていません。

なので実際にはもっと悪いのではといわれています。

 

 

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生産性を向上させるために、現在日本では「働き方改革」に力を入れていますが、

朝9時出社の会社って多いですよね?

果たして本当に9時出社が価値を生むのか?言い換えると9時出社しなくてもいいんじゃないか?という話ですが、こういった話した場合、大抵固定概念に凝り固まってると、

  1. ユーザの業務開始が8時半だから、うちの社員も同時刻に会社にいなければいけない。
  2. 現場で何かあった場合、会社に電話がかかってくるから会社にいなければいけない
  3. 仕事は会社に置いてるデスクトップPCでしかできないから会社にいなければいけない

ということを言われます。だから9時出社が必要なんだと。しかし

  1. 常にユーザと一緒の場所で一緒に仕事をするわけではないですよね?
  2. 電話かかってくるのなら、家にてもいいよね?何なら携帯持っておけばいいし。
  3. ノートPC使ってリモートで仕事できるのでは?

といったように解決策って割と簡単に出てくるんですよね。まあこういう話をすると「セキュリティ」という言葉が次に出てくるのですが、これは後ほど触れます。

 

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もう一つ。働き方改革でよく聞くようになった「ノー残業DAY」「定時間退社日」。

上からは残業が多いから減らせと指示がくる。でも現場の仕事量が減ったわけではない。生産性を上げればいいじゃないかって簡単に言われても・・・ってなりますよね。

 

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「持ち出し禁止」のシールが貼られたノートPCがあったり、情報を運ぶためのUSBの使用禁止していませんか。

先ほど少し触れましたが、こういった規制はセキュリティを意識したものではあるのですが、澤さん曰くこうしたルールが生産性を下げている要因とのこと。

 

こういったものは全て「リスク」に化けるのだそうです。

会社でしか仕事ができない。なのに定時退社とか言って会社にいる時間を減らそうとする。当然仕事は終わらない。

だから、仕方なく本来持ち出してはいけないものを持ち出すという行為に至るのだと。

誰しも会社やユーザに迷惑をかけようと思ってやっている人はほとんどいないはずです。しかし、こういったがちがちに固められたルールによって逆にリスクを背負うようになるんだと。

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それと生産性向上の阻害要因として、結構多いのがこの「スケジュール調整」。

経営層やリーダー級の人たちって「スケジュール調整」の「会議」って多くないですか?これは見えざるコストだといわれていました。

この会議が「コスト」であるという認識がない人が多いらしい。

私自身、なんとなく生産性向上などを目的として会議減らしましょうという話は聞きますが、1回の会議で明確にどれほどのお金がかかっているものなのか意識をしたことはほとんどありませんでした。

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これは会議がコストであることを証明するためのエビデンスです。

  • 内側が社長が絡む経営会議1回にかかる時間。
  • 真ん中が役員や部長級の人が上に提出するための資料を作って会議する時間
  • 外側が末端の人たちが役員や部長級の人の会議のために使用する時間

合計して30万時間。34億円使用しているという測定結果です。

これは円表示していますが、アメリカの製造業の事例です。

日本はアメリカより生産性が悪いです。下手をしたらアメリカの半分。

ということは日本はアメリカの2倍かかっているとも言えるわけです。

日本の会議って結論出ない無駄会議が多いですもんね。

 

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ということで、事実に基づいて、生産性向上を阻害する「無用なルール」は排除しましょう。

ステップ2:「納得感」で城内に攻め込む

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さて、経営層の人たちを説得するためには納得感が重要です。

しかしながら、この納得感を阻害する一番の要因は「セキュリティ」です。

 

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経営層の人たちはなんでそうなったのか「説明できない状態」というのを一番嫌うそうです。なぜならば、会社を守るためには説明責任を果たす必要があります。なので「説明できない」というのは困るのだと。

 

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これは単なる事実であり、決して馬鹿にしているわけではありませんが、

日本は社員を「子ども」として扱う風潮があるといわれています。

 

なので、会社は子育てをイメージして社員を教育していくのだと。

だから、何かあったときは「なぜそうなったのか?」「なぜそんなことをしたのか?」と問い詰めるように聞き出そうとします。

この言葉にはハッとする部分がありました。新人などを教育する時に「これから会社で活躍できる人材に成長していってほしい」と思って教育しますが、その根底には「子育て」の意識があったように思います。全部が全部というわけではもちろんないですが、会社で行う技術者の教育というのは今一度考えてみるべきかなと思いました。

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人は子ども扱いされると、子どものように振舞ってしまうらしいです。

なので、社員のマインドセットが変わっていくのだと。

 

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どう変わるかというと、怒られることを避けるようになるそうです。

怒られることをトップリスクとして認識してしまい、怒られないよう振舞う。

怒られないようにするためには失敗しないようにする。失敗しないためにチャレンジをしなくなる。チャレンジをしないので成長もない。

 

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そもそも、日本という社会は失敗を許さない風潮があります。

1回でも失敗しようものならこっぴどく怒られたり干されたりするため、失敗しないよう怒られないように努力してしまうようです。

 

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ここで恐怖の言葉が登場。「運用でカバー」。

失敗を許さないくせに、特に何か施策・対策をやるわけではなく、現場に任せるスタンスなわけです。人は失敗する生き物で、失敗から学ぶ生き物です。運用でカバーできるわけもなく失敗してしまうわけですね。

 

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なので、失敗を前提にすべきだということです。

失敗してもどうにかなるようにしておけばよいということらしい。

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さらに、「誰かのせい」とならないよう自動化してしまうのも手だということです。

自動化してしまえば、作業負荷は減り、「誰のせい」が減っていくそうです。

 

ここまで整理したうえで、どう「納得感」を与えるか?

 

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「Who(誰)」が特定できるようID管理をしましょう。

セキュリティはこの「誰」が特定できるかが重要だそうです。

例:家の玄関が開いた

 私や家族が開けた:何の問題もない

 知らない人が開けた:不審者。問題あり。

という感じで「誰」が重要なんだと。

「課長」というアカウントが代々引き継ぎ項目になっていませんか?

「admin」とか「管理者」という名前のアカウントも同じです。

 

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「誰」がわかればセキュリティはクリアできるのだと澤さんはおっしゃっていました。

これで責任者は説明可能で、説明責任も果たせる環境になったと言えるようです。

ステップ3:「未来感」で天守閣へ

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上層部が大好きなAIという言葉で未来感を演出します。

実際ITベンダーとかはいいことしか言いません。うちも売る側ならいいことしか言いません。

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でも参謀のあなたは、ここで「実際どう使うのか?使っているところはあるのか?」という点について考える必要があります。デモなどわかるようなものがあるのか?と。

 

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実際にMicrosoft経理部門ではAIを使用しているようです。

何に使用しているかというと「売上予測」に使っているようです。

 

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でもAIの売上予測について、過去どうなっていたかその延長線上に将来があると考え予測するようです。

その際、相関関係はわかるが、因果関係はわからないということらしいです。

これはAIのことを説明する際のポイントになります。

 

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例として、気温とアイスの売り上げの関係について。

  • 相関関係:気温が高いとソフトクリームが売れる。
  • 因果関係:熱いと冷たいものが食べたくなる。

この因果関係を考えることが大事だということです。

 

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このように、将来AIによって奪われる仕事として、「経理担当者」の仕事はほぼ確実に奪われるようですが、CFO(判断を下す人)はなくならないと言われています。

 

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つまり、これからの人間の仕事はビジネスの因果関係を知り、未来を創造し続けることだということです。

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そのためには「リーダーシップ」が必要。

 

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その良い例として武闘派CIOのフジテック友岡さんが紹介されました。

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他がやっていなくても自社のためになるならやってみるべきだと上の人に物申し、 失敗しても私の責任の範囲でやるなんていわれたらついていこうと思いますね。

まとめ

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というわけで、この3ステップで立ち回りましょうということのようです。

 

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 私たちエンジニアにとってテクノロジーというのは非常に重要です。

良い面をしっかり伝えて、より良い未来を作っていきましょうということで澤さんのセッションが終わりました。

 

合わせて1日目のキーノートもまとめてます。ほかのセッションも後で書きます。

そのうちセッション資料や動画が公開されるはずなのでそれまでの繋ぎと社内へのフィードバック用にという位置づけで書いてます。

sy0690.hateblo.jp

 

追記:Voicyで働き方に関する澤さんの投稿があったので、それも補足的に追加しておきます。

日本人が報連相を対面で使用とする理由の根底は「礼儀」だという話にはハッとする部分がありました。

voicy.jp